2021年06月04日

久しぶりの建築探訪@大分

中津での法要の後、三密を避けて車で足早に大分県内の建築を見て回りました。

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中津から耶馬渓を経由して、龍岩寺奥院の投入堂へ。投入堂と言えば、国宝にもなっている鳥取の三徳山三佛寺が有名ですが、こちらはほとんど知られていないのではないでしょうか?

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こちらは三徳山三佛寺に比べると遥かに道のりが楽で、少々拍子抜けしました。

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しかも、近寄れるだけでなく、

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中に入れたのには驚きました!誰もいないところで静かに拝観できました。


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その後、別府を経由して大分市内へ。

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大分と言えば、磯崎新の旧大分県立図書館。

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docomomoにも選ばれていながらも、一時は解体の危機にあった磯崎さんの初期の名作。

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どこから見ても力強い外観です!

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現在はアートプラザという名に変えて、美術館として使われています。

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以前、図書館だったとは全く思わせないダイナミックな内部空間です。

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そこから少し内陸に入って、藤森さんのラムネ温泉に。インスタ映えすると建築とは無縁の一般の方々にもとても人気のある藤森建築。改めて訪ねてみると、やっぱり和みます。なるほど、建築的にもとても良いです。

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そして、杵築にも立ち寄りました。こちらは塩屋の坂から酢屋の坂を見た風景。

またコロナが落ち着いたら、ゆっくりと旅行したいものですね。。。


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2021年06月03日

筑紫亭と風の丘葬斎場@中津

父の四十九日の法要で大分県の中津市に行ってきました。

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法要を終えた後、近くの老舗料亭、筑紫亭へ。こちらは大正時代の中津が栄えていた頃の面影を残す建物で、主屋と離れと塀は国の有形文化財に登録されています。

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手入れの行き届いた庭を抜けて玄関へ。

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玄関を振り返ると・・・美しいですね。

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中に入ると、また庭があります。

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2階にもたくさんの部屋がありますが、こんな時期なので客は僕らだけで貸し切りです。ゆらゆらとした吹きガラスが時代を感じさせます。

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三密を避けて広々としたお部屋に少人数で、中津名物のはも料理をいただきました。

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貸し切りということで、全ての部屋を女将さんに案内していただきました。こちらは、主屋と離れをつなぐ廊下。

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離れは庭に点在する数寄屋建築。

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このような廊下で繋がっています。

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なかなか凝ったディテールですね。

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このような建物と庭を維持するのは東京でも大変のことですが、人口10万人にも満たない地方都市の中津ではとても大変なことだと思って女将さんお聞きすると、海外や日本各地から筑紫亭を目当てに来ていただいているのでなんとか続けれられているとこと。

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一番奥のお座敷、竹の間の床。

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すべての部屋はそれぞれ異なった設えになっています。とても素晴らしい建物の中で、美味しい食事をいただくことができ、とても満足。その後、八面山のこがね山荘へ行く途中、「風の丘葬斎場」に立ち寄りました。

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「風の丘葬斎場」は、20年ほど前に竣工した、槇さんの名作。

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コロナ禍ということで、中に入ることはできませんでしたが、エントランス周りと庭を散策させていただきました。

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建物と庭の境界がなく、

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緩やかな傾斜した大地に呼応するような佇まいです。

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歩いていくと風景が、少しずつ変わっていきます。

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歩いているだけで心が安らぎます。そう言った意味でも、やはり素晴らしい建築ですね。ふと、ストックホルムの森の墓地を思い出しました。

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2020年11月08日

アマン東京へ

コロナ禍で今年は海外旅行はおろか国内の建築の見学にも全く行けていませんでしたが、東京もようやくGO TO トラベルの対象になったということで、、、ただ、先が全く読めない状況なので、普段、泊まることのない(泊まる必要がない?)都内のホテルに行くことにしました。アマンか建て替わったオークラか少し悩みましたが、リゾート地ではないアマンを見に行くことにしました。アマンと言えば最近、伊勢志摩と京都にできて話題になっていますが、今度は北海道のニセコにもできるようですね。

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大手町タワーの最上階6フロアがアマン東京。こちらが、エレベーターで上がったロビー階です。それになりにインパクトはありますが、旧オークラで味わったような感動はないですね・・・

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設計は数々のアマンリゾートを手掛けたケリー・ヒル。ちなみにオークラの復元部分は谷口吉生(元々はお父様の谷口吉郎)で、どちらも大成建設の設計部が絡んでいます。御三家(帝国、オークラ、オータニ)を手掛けた大成はやっぱりホテルは強いんですね。僕が大成所属時はホテル系の部署にいたので、これらに関わっている方々はよく知っているのですが、辞めずに残っていたらここを担当していたのかなあと思いながら、、、、ソファで一休み。

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見上げるとこんな感じです。外国人が好きそうな和の雰囲気ですね。

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部屋は皇居側を指定すると、この大きさになるようです。恐らくアマン東京の中では小さ目の部屋のようですがこれで十分。一段下がった窓側の方にソファスペースがあって、目線が少し下の方に向かうようになっていて、窓のちょうど真ん中当たりに、皇居、その先に新宿、そしてその先に富士山が見えるようになっています。なるほど、なるほど。

ベットの手前には机があります。折角、机があるので、こちらで仕事を少々。

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疲れてきたので、お風呂に入って一休みという感じです。

コロナ禍で「ワーク」と「バケーション」を合わせた「ワーケイション」という言葉がもてはやされていますが、あまり快適だと仕事は捗らないですね(笑)。長期滞在すればまた違うのかもしれませんが・・・

東京の風景に見慣れた私たちにとっては眺望が良いと言ってもあまりリゾート感ないですね。。。ということで、夕方、ジムエリアで一通りの筋トレを済ませて、空きが出たのでプールへ。

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コロナ対策で人数制限がされていているのですが、プールサイドのベットは常に満席。たまたまかもしれませんが、プールで泳いでいる人はわずかな上、とても静か。周りの人が見ている中、音を立てずに静か〜に泳ぐといった感じです。リゾートですから当たり前ですね(笑)。

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次の日もチェックアウト後、プールに立ち寄りました。昨夜と違って誰もいない静かなプールを独占!夜は夜で雰囲気があって良いのですが、昼の光が差し込んだ水底がとても美しいです。バタフライ、そして背泳、平泳ぎ、クロールと個人メドーレー。本気で泳いで、息がゼーゼー(笑)。平日の真昼間にとても贅沢です。この後、ジャグジーに入って、何もなかったかのように、いつも通りに事務所に向かいました。

インテリアは想像していたものよりシンプルで、とりわけ高価な材料や手の込んだものもなかったように思います。普段、日本で設計している私たちにとっては見慣れたものが多いので、異国のリゾート地のアマンほどの高揚感はないのですが、海外から日本に来る外国人にとっては、眼前に広がる皇居や超高層のビル群、そして富士山などを見ると、また違った印象を受けるのだと思います。ホスピタリティは過剰な堅苦しいサービスはなく、むしろスタッフの方もフレンドリーに話しかけてくるので、とてもリラックスできるという意味ではやはり極上なのだと思います。

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2019年04月30日

伊豆韮山「江川家住宅」再訪

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三養荘に行った帰りに、江川家住宅に立ち寄りました。以前、一度行ったことがあるのですが、その時は閉館間際でほんの少ししか見れず、もう一度ゆっくり見たいと思っていました。こちらが門をくぐって見える建物正面、メインの入り口ですが、こちら側ではなく、裏側の方が素晴らしいのです。。。

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こちらです。

建物全体に占める土間の占める面積が大きく、全体の1/4以上。
上部が闇に包まれている古民家と違って、
光が差し込んでいるので構造体が浮き上がって見えます。

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見上げると、こんな感じ。素晴らしい!
規則正しく、リズミカルな構造です。

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2019年04月29日

「三養荘」の特別室・初音

今回、私たちが泊まったのは村野藤吾が設計した新館の特別室「初音」。この部屋は文字通り三養荘の数ある部屋の中でも特別なお部屋。平成天皇も10年ほど前、こちらにお泊りにならたそうで、そんなお部屋に平民が泊まっていいものか?と少し恐れ入ってしまいます。

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この長い廊下の先にはあるのは「初音」の一室だけ。

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このさりげない照明が、

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このような美しい明暗をつくっています。「初音」に泊まる人だけのアプローチ空間にある「おもてなし」です。

そして、ここを右に曲がって数段上がったところに、

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ようやく「初音」の入り口があります。扉には竹が埋め込まれています。

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こちらが13畳の広間です。

ところで、和歌の世界では「本歌」「本歌取り」といった言葉があるようですが、日本建築、特に茶室の世界でも「本歌取り」「写し」といった文化があります。以前は、パクリと何が違うのか?と思っていましたが、「本歌」となるのは一流のものですから教養がある人はその本歌を当然知っているのが前提。つまり写す人のセンスを問うものであって、パクリか否かを議論するのはナンセンス。近代以降の日本建築の「本歌取り」の名人と言えば村野藤吾。この三養荘にも「写し」方を学べるところが満載です。

茶室に詳しい方は、この部屋が何の写しかすぐにわかるのではないでしょうか?二畳の床と言えば、、、そうです。「残月写し」です。利休がつくった色付九間書院を小庵によって少し規模を縮めて復興され、のちにそれが「残月亭」と呼ばれるようになったのですが、現在の表千家の「残月亭」は1910年に復興されたもののようです。堀口捨己の八勝館「残月の間」など、日本中に有名な「残月写し」はあると思いますが、村野藤吾にも「残月写し」がたくさんあります。村野流に少しづつ変化していく「写し」を見比べると、村野藤吾の試行錯誤が垣間見えてとても面白いですね。三養荘が遺作ということは、ある意味こちらが集大成ということになると思います。あと、ここの格子の天井は金沢成巽閣の「群青の間」の写しとも言われています。

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この部屋の他に8畳と6畳の部屋があって続き間になっています。

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その外側に入り口から続く広縁がぐるりとあり、その外に庭が広がっています。
これらの部屋とは別に広々とした化粧部屋や内風呂などがついています。

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ゆったりとくつろげる空間です。
畳に座るのが苦手な人には嬉しいスペースかもしれません。

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こちらは茶道口から床を見たところ。一歩中に入ると・・・

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網代天井に黒い金物がありますので、お点前はこちらで。

本歌「残月亭」の一段上がった床に畳が2枚敷いてありますが、
こちらはこのような踏込床になっていて、その先に洞床があります。

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広縁の突き当たりの網代の扉を開けると、こちらに出ます。
円形窓の右側に竹のスノコの月見台があるはずですが・・・・

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竹挟みの濡れ縁と竹のスノコが重なりあう兼六園「夕顔亭」の写しがあるはずでしたが、、、竹のスノコがありません!月を眺める人もいないでしょうし、維持管理が大変なのでしょう。。。

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こちらの部屋には広々とした温泉の内湯もついています。

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遠くに見えるのが、初音のお部屋。この広大な庭も独り占め。

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この小川はこの先の山のから流れていると思っていましたが、
夜はこの流れが止まっていたので人工的なものなのですね。。。

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日が暮れると障子が行灯のようになり、これまた風情がありますね。

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三養荘は村野藤吾の遺作ということは多かれ少なかれお弟子さんが設計監理しいるからか、建築界では桂水園の方が評価が高く有名だと思います。ただ、インテリアや照明の完成度はこちらの方が高いののではないでしょうか?

旅館ならではの「おもてなし」という点では運営はプリンスホテルなので、どことなくホテルチェーンの一つの旅館という印象を受けました。それは京都の佳水園も都ホテル(今や外資のウエスティン)の和室に過ぎないので、以前、泊まった時に同じような印象を受けました。きめ細やかな「おもてなし」をするには、ここは規模が大きすぎですね。何はともあれ、いろんなことをあれこれ考えさせられた貴重な一泊でした。


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2019年04月28日

村野藤吾の遺作「三養荘」に泊まる

伊豆長岡の三養荘に行ってきました。

建築界では誰もが巨匠と認める建築家の村野藤吾。世界平和記念聖堂や日生劇場などたくさんの名作があるものの、丹下健三などと比べて一般の方にはあまり知られていないのではないでしょうか?村野藤吾は近代建築の王道とは距離をとっていたので、今となっては歴史上の大きな文脈に乗らないので存在感があまりないのでしょうね。個人的には吉田五十八、堀口捨己と並ぶ近代以降の日本建築を設計する建築家として大変興味があり、三養荘は前々から見学したいと思っていました。

京都の「桂水園」やニューオータニの庭園内にある「なだ万本店山茶花荘」など村野藤吾が設計した作品にこれまでに泊まったり、食事をしたりしてきましたが、三養荘はそれらより敷居が高いイメージあったので、後回し(?)となっていました。今回は親の長寿のお祝いということで奮発!こんな機会ですから一番良い部屋を予約しました。

敷地面積は約42,000坪、東京ドーム3個分と広大。3000坪の広大な庭は7代目小川治兵衛、通称「植治」の作。元々、ここには三菱財閥の岩崎家の別荘があって、それらは重要文化財にも指定されています。それに加えて、昭和、平成の天皇陛下がお泊りになられた部屋が、庭を取り囲むように建っています。そして、その横の広大な敷地を買い足して、村野藤吾が新館を増築して今の三養荘となったようです。

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まずこちらの広々とした車寄せに到着。ムクリのついた瓦の大屋根が美しいですね。大和、河内の民家に瓦葺きと茅葺きの二つの屋根で構成される「大和棟」と呼ばれるものがありますが、その「大和棟」を本歌とした2段の屋根が村野藤吾らしさの一つです。左側の塀は、南禅寺三門近くの山荘群の一つ「清流亭」と同様の栗ナグリ詰打ち仕上げ。その手前の竹は竪樋です。

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エントラス横の照明。ハート形を崩したような形のこの「猪の目」の文様は、ここ三養荘ではもちろん、村野藤吾の作品のあちらこちらで見かけます。「猪の目」は古くは寺社、江戸時代以降はお茶屋さんなどで下地窓にも使われるようになった文様です。

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扉を開けるとこのようなエントランス空間が広がっています。「忘筌」のように上部だけ障子を入れて、その先の庭も借景とてして取り込んでいます。天井の板をところどころくり抜いて、その奥から下向きの照明をとっています。

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客室は起伏のある広大な敷地に地形に合わせて点在しているので、どこに行くにもかなり長い廊下を移動することになります。「雁行」しながら庭を眺めながら歩くので、次々にシークエンスが変わり飽きることはないのですが、旅館にしてはちょっと規模が大きすぎなような・・・・

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滝があったり、小川が流れていたりと窓の外には様々な風景が広がっています。

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庭の取れないところは、トップライトやハイサイドライトなどを巧みに使い、
明暗を作りながらも、先へ先へと誘います。

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廊下の天井もよく見ると凝っていますね。

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屋根が重なり合うように配置されています。

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こちらはこちらは入れませんでしたが、エントランスを挟んで向かい側にある別棟。今年の秋から会員制の宿泊施設になるようです。村野藤吾が手がけた建物は広大ですね。

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庭は明治の庭師、7代目小川治兵衛「植治」によるもの。「植治」と言えば、京都の無燐庵や平安神宮などの庭で知られていますが、それらの庭と比べるとこちらの庭は今一つハッとするようなところはなく、恐らく植治晩年のものでお弟子さんがかなりメインだったのでしょう。

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「植治」の庭の周りには、三菱財閥の岩崎家の別邸が数棟配置されています。
文化財にも指定されている重要な建物で、こちらにも泊まれます。

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本館の入り口はこのような感じ。

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そして廊下です。

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こちらの明治期の古典的な和風建築と比べると、村野藤吾の新館が近代以降の和の解釈をしていることがよくかわかります。

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庭の高台に四阿。ここから、三養全体を一望できます。

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こちらは宿泊客以外の方も入れるラウンジ。

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天井は村野藤吾らしいデザインですね。

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2019年03月31日

春の越前を駆け抜ける

福井県はやや存在の薄い県の一つだと思いますが(すみません!)、
古くは北前船の湊町として、今は越前ガニの漁港として知られる三国や、
越前和紙、鯖江のメガネ、コシヒカリといった日本一のものも多く、
意外にも(?)存在感のある県ですね。

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金沢からレンタカーで最初に向かったのが東尋坊。
なぜかサスペンスドラマの舞台によくなるところですが(笑)、
マグマからできた火成岩の一種の輝石安山岩が柱のような状態で、
約1キロ広がっている素晴らしい風景です。
ここ以外にはノルウェーと朝鮮半島くらいしか見られない珍しいものらしい。

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その後、少し車で南下して三国港エッセル堤へ。
土木学会選奨土木遺産というものにもなっているようですが、
オランダ人工師エッセルが設計した明治初期を代表する港湾施設で、
東尋坊の石でできるようです。
釣りをしている人がいましたが、観光している人は誰もいません(笑)。

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そして、三国の中心部の旧森田銀行本店へ。
こちらは大正9年(1920年)に建てらた国の登録有形文化財。
こちらの改修工事は大学時代の友人、林田君が関わったようです。
彼は大学卒業後、ずっと地元で設計していますが、いい経験をしていますね。
この建物の細かなところ見ていると三国が豊かだったことが伝わってきます。

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そして、旧岸名家住宅へ。
ここも三国の繁栄の象徴的な建物です。

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北前船に乗せた三国箪笥、豪華な三国仏壇なども置いてありました。
三国箪笥の説明を聞いていると・・・「ブラタモリ」で見たような(?)。
聞くと、、、、やはり出たようです(笑)

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防犯上、夜はこのように締めていますが、
ロープを引いて重い大きな扉を開けると・・・・

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このようになります。

床は「笏谷石(しゃくだにいし)」と言って非常に高価な石で、
床全面に敷き詰めているのは豪商の証らしい。

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「笏谷石」のアップはこんな感じ。美しい石ですね。

そして、急ぎ芦原温泉「つるや」へ。

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次の日、昼前に芦原温泉を出発して、大瀧神社へ。
藤森照信氏によると「日本の屋根は最後にここに行き着いた」とのこと。

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日本一複雑な屋根の社寺とのことですが、
なぜここまで複雑にしなければいかなかったでしょうね?
檜皮葺は文字通り薄いヒノキの皮を少しずつ重ね合わせて作るので、
材料調達も含めて本当に気が遠くなる仕上げです。
ただ、このカタチは檜皮葺だからこそできるのでしょうね。
藤森さんの言うように確かにここが終着点なのでしょう。

檜皮葺の伝統技術の素晴らしさを感じながらも、急ぎ坪川家住宅へ。

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小さな写真だけ見るとどこにでもあるよくある民家のようにも見えますが、
移築されたり、博物館になっていたりしていない立派なものです。
昭和43年に別棟を建てたとは言え、まだ現役。
その当時は周りも茅葺き屋根だったらしいのですが、今はここだけ。
日本の原風景のような桃源郷のような場所に建っています。

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土間の力強さか、囲炉裏の火か、暗闇の天井か、静けさか、
何がそう思わせるのわかりませんが、地霊のようなものを感じました。

格式の高さのようなものめ感じたので、どのような方の住まいか尋ねると、、
「北面の武士」の末裔の格式の高い旧家とのこと。。。
やはりこの集落の中では別格だったらしい。

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金沢、芦原と新鮮で美味しい海の幸をたくさんいただきましたが、
最後の食事はこちら。谷口屋の油揚げのステーキ。
写真でこの大きさは伝わらないかもしれませんが、かなり巨大です。

そして、福井といえば越前蕎麦。おろし蕎麦も最高でした!
坪川家住宅のすぐそばで、「谷口屋」の看板の方が頻繁に案内が出てきました(笑)。
かなり有名で遠方からわざわざ食べにくるようですね。
棚ぼたで美味しい食事にありつけてラッキーでした。

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2019年03月30日

平田雅哉の「つるや」に泊まる

今回の北陸の一番の目的は芦原温泉の「つるや」の見学。
先月、熱海の「大観荘」に行き、他の平田雅哉の数奇屋建築も見たくなり、
気がつくと、はるばる福井芦原温泉まで来てしまいました。
北陸新幹線が金沢より先に延びると、一気に東京からも近くなりますね。

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泊まったのは「吉兆」というお部屋。
平田雅哉が最も気に入っていた部屋ということで、この部屋を指定。
チェックインからチェックアウトまで、
可能な限り(それ以上?)どこにも出ずにずーとこの部屋にいると、
平田雅哉のデザイン意図が色々と伝わってきます。
やはり堀口捨己や村野藤吾といった建築家の数奇屋と、
大工の棟梁の数奇屋は違うんだなあと思いながら、のんびりと寛ぎました。

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「吉兆」の入り口横の透かし彫り。

枠はシャープに見えるように「刃掛け」の枠なしの納まりとなっています。
私たちも左官の「刃掛け」の納まりは多様していますが、
柱や枠がある中で枠なしのところをつくとその意思を強く感じます。
水平の垂直の線(枠の見付けなど)を上手く使って空間に変化を与えているのですね。

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「大観荘」にはアクリルを使った斬新な(?)ディテールがありましたが、
こちらにも同じようなデザインがあちらこちらありました。

こちらのストライプの入った壁も少し普通と違った趣きです。
近づいてみると、、、

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V目地のところをシルバーに塗って表情を作っています。
住宅の規模だとちょっと気になるディテールですが、
この規模の暗がりではいい感じですね。
今見ると、今一つかなあと思うデザインもチラホラありますが、
失敗を恐れずトライし続けた数奇屋大工に脱帽です。

チェックアウト後、他の部屋も見せていただきました。
見せていただきたかったお部屋は「観月」と「大観」でしたが、
運よくどちらも空室で二室とも見せていただきました。

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こちらは「観月」の月見台。栗の木を手斧でなぐり仕上げの手摺です。

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そして、大観の間。突き当たりの障子を閉めると・・・・

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ザ・  平田雅哉です。

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アップしてもやはりこの障子は美しいですね。

「大観荘」と「つるや」と平田雅哉の作品を二つ見ると、だいぶ分かってきました。
次に泊まりに行くなら、村野藤吾の「三養荘」かなあ?
未知なる数奇屋の世界は、どこまでも深いですね。


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2019年03月29日

成巽閣「清香軒」

北陸新幹線、かがやきで春の北陸へ行ってきました。
かがやきで長野までは何度か乗ったことがありますが、
東京-金沢間がたったの2時間半。大宮の次は長野、そして、その次は富山。
ひと昔前は東京長野間と言えば3時間でしたよね。
そんな話をするのはお爺さんネタですかね(笑)。
横川-軽井沢間を1時間かかっていたのが懐かしい気もしてきます。
信州は遠く、さらに一山超えて北陸、それはそれで良かったような・・・

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車窓から妙高や立山が見えましたが、、、、
こんな風景もあっと言う間に通り過ぎてしまいます。

ところで、金沢には数回来ていながら成巽閣を見学するのも今回が初めて。
成巽閣と言えば天井がウルトラマリンブルーで塗られた「群青の間」、
他にも「つくし縁」、「謁見の間」など見所は満載。

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撮影が許可されているのは庭だけなので、庭を撮りながら・・・・
こちらは木造の伝統構法の桔木を使った20m無柱の「つくし縁」。
ところで、このアングルの写真はOKだったのかな?(笑)

見上げると・・・・

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野地が凝っていますね。こんな感じに、かなり密度の濃い建物です。

今回、非公開の清香軒、清香書院、飛鶴庭の見学を事前申し込みしていたので、
誰もいない静かなところで特別にそれらを見学できました。
「清香軒」は雪の多い北国らしい内露地のある茶室で、特に素晴らしかったです。

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非公開エリアも撮影不可でしたが庭のみ撮影可ということで、
残念ながら写真は建物はひかりつけした柱と庇のみです。

兼六園に行くなら成巽閣にも絶対に行くべきですね。
そして成巽閣に行くなら清香軒は必見。
きちんと事前に予約していかないと見れませんので要注意です。

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その後、谷口吉生が設計した鈴木大拙館に立ち寄り、しばし瞑想。
仏教哲学者の記念館で、竣工してすぐの頃に一度来たことがありますが、
ガイドブックにも載っているからか、以前より人が多く外国人もちらほら。
その混雑にも関わらず、騒いではいけない雰囲気があってとても静かでした。

金沢美術館を横目に、満開の桜が咲く金沢城を通り抜けて近江市場へ。

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ただ通り抜けるつもりが、立派な石垣が目に止まり・・・
こちらは2001年に復元された菱櫓・五十間長屋。
木造軸組工法で復元されていて内部も一応見ておこうと入館。

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予想以上に充実した建物に関する展示もありました。
屋根がグレーが一般的な瓦とは少し趣が違うと思っていたら、
このように木製で作られた屋根に鉛の板で覆われているとのこと。
瓦にせずにこのような屋根にしている理由の一つに、
戦時には鉄砲の弾にするためとも言われているようですが、
はっきりしたことはわかっていないようです。

そして、いよいよ近江市場で夕食。海の幸を堪能しました。

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2019年02月10日

平田雅哉の大観荘

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以前から泊まってみたいと思っていた「大観荘」に行ってきました。
ご存知の方も多いと思いますが、国内外の著名人も泊まっている熱海の老舗旅館。

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宿泊した部屋はこちらの「大観の間」。横山大観、谷崎潤一郎といった面々が
この床の間を背に映った写真が部屋に飾ってありました。

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「大観の間」は錦鯉が泳ぐ池、あたみ桜と梅が咲く龍居松之助の庭に面した部屋で、
戦前は鉄鋼で財を成した中山悦治の別邸(1941)。
ただ今回の宿泊の目的は数寄屋大工の棟梁、平田雅哉の作品を見ることでした。。。

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フロントで平田雅哉が手がけた部屋を可能な範囲で見せていただきたいとお願いし、
しばらく部屋で庭を眺めながらお茶を飲んでいると、わざわざ支配人がお部屋に・・・
とても丁寧に旅館の歴史から説明をしていただきました。
「大観の間」にどれだけ平田雅哉が関わっているかわからないとのことですが、
平田雅哉の作品集に本館2階「松風の間(1949)」が掲載されていたので、
1階「大観の間」も多かれ少なかれ改装してしていることでしょう。

ところで、本館は村野藤吾が関わっていたようです。
旅館の方々も本館は他の建物と趣が違うと前々から思っていたそうですが、
ある時、京都工繊大の村野藤吾の研究グループがやって来て、
その時、村野藤吾が大観荘に関係しているという事実を知ったそうです。
図面を見せていただくと、確かに「大観の間」あたりは全く同じ間取りなので、
確かに多かれ少なかれ村野藤吾が関わっていたようです。

村野藤吾と平田雅哉。
二人は親交は深かったようですが、「大観の間」ではどこが村野藤吾で、
平田雅哉がどこを改装したのかを探すのも楽しみ方の一つかもしれません。

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そして、本館と平田雅哉(後に平田建設)が増築した棟をつなぐ渡廊下(1966)。
竣工当時から手を入れていないので正真正銘の平田雅哉のオリジナル。
支配人によると、南館(1951)と西館(1971)に、
最も平田雅哉らしい部屋が残っているとのことで、
お客が来る前に可能な範囲でいくつもの部屋を案内していただきました。

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南館「井筒の間」の「上尾の間」の障子は、縦桟がアクリルの斬新なデザイン。
遠くから見ると横桟だけに見えるので、横に伸びやかに見えますね。

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ただ、素材の違いが相性があまりよくないのかもしれません。
若干のソリやワレもありますが、気にしないので是非、残して下さい!

平田雅哉は大工の棟梁ですが、設計にも力を入れていたそうでそうで、
施工とメンテナンスまで全て自分でやるからこそできるデザインがあちらこちらに。
間取りもデザインモチーフも部屋ごとに全て違っているので、
今となっては維持管理はとても大変だと思います。
そのあたりは一般の方にはわからないのですが、苦労されていることでしょう。

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この部屋は角をとって漆を塗っていますが、
その反対に全体は漆を塗って角だけ木の素地を見せている部屋もあります。

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そして、格子の交点に特徴がある「相生の間」の障子。
単なるデザインというだけでなく、補強にもなっていると思います。
この障子は「西村屋」などの他の旅館でもアレンジされて使われていますね。

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こちらは西館の「青柳の間」は、部屋に入る手前にこちらの衝立があります。

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こんな感じに障子を開けることもできるようです。

コンクリート造の建物に数奇屋造りの部屋が入っていて、
天井は入口の高さは抑えて、奥の部屋の方に向かって高くした勾配天井。
階高は高く、天井懐がかなりあるので天井の自由度は高いのですが、
上の階の設備配管がスラブを貫通して天井懐内を展開させているので、
メンテナンスは大変とのこと。一般的にはメンテナスを優先しがちですが、
優先順位を変えるからこそできるものもあるのかもしれません。

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なるほど。こうなっているのですね。勉強になります。

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斜面に沿って建物は建っていて、奥へ奥へと誘う階段ですね。
手前が木造の南館で、階段の先がコンクリート造の西館。
全くバリアフリーではないので、宿泊客からお叱りがあって困っているそうです。
切妻天井、照明や開口部、そして細かな線部材が伸びやかさを感じさせますね。

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反対から見ると切妻のセンターが絶妙な位置にあって、
階段沿いの水平ラインに同化させています。。。素晴らしい!
パースを描いて施主にプレゼンまでしていたようで、
空間の作られた方がどことなくそんな雰囲気を感じます。

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様々な部材を組み合わせながら、全体をまとめています。
5、60年前の建築家ではなく、大工の棟梁がデザインしているのですから脱帽です。

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竣工当時、恐らく出始めた新素材のアクリルを使った壁の一部。
水を表現しているのでしょうか。今見ても斬新です。

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これぞ和モダン。数寄屋大工の棟梁という枠を超えています。

今回は支配人にご案内していただき、
長時間お話させていただきとても濃密な時間を過ごすことができました。
本当にどうも有難うございました!
平田雅哉の建物を見たのは今回が初めてでしたが、
福井芦原温泉の「つるや」、城崎温泉の「西村屋」「新かめや」など、
まだ現存する旅館があるようなので、近々に行ってみようと思います。

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2018年09月25日

赤瓦の建築

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山口県と隣接する益田市に建つ内藤廣氏設計の「島根県芸術文化センター」。
別名、グラントワと言われているようですが、
公募で決まったその呼び名は内藤さんはあまり好きではないらしい。
その気持ちも、なんとなくわかる気もします(笑)。

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その外壁は、艶のある深みのある赤瓦で覆われています。
赤い瓦は光のあたり方によって様々な表情を見せてくれます。

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中庭を取り囲むように幅の広い廊下、
そして図書館、美術館、劇場、レストランが貼り付いています。

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夕方になると、リゾートホテルのような佇まい。

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少し時間が余ったので、津和野に立ち寄りました。
津和野都言えば、黒壁と鯉。
ここまで来ると、萩がすぐそこということもあって、長州ですね。
山陰と一言で言っても、西の端と東の端では全く違った文化圏。
日本再発見の旅でした。

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2018年09月24日

神の宿るところ

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このとても立派なしめ縄と言えば、そう、出雲大社です。

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神楽殿のしめ縄には圧倒されます。

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出雲に限らず、山陰はパワースポットが点在しています。
こちらは出雲大社の近くの稲佐の浜にある弁天島 。
小さな島(大きな岩?)に鳥居のある風景は、
今回、2箇所ありました。

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こちらは因幡の白うさぎで有名な白兎神社。
白兎海岸の鳥居です。

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拡大するとこんな感じ。

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こちらは島根の西の端、小浜にある衣毘神社です。
潮の満ち引きで渡れなくなったりするらしく、
地元では別名、山陰のモンサンミッシェルと言われているとのこと。
ちょっと比較するには小さ過ぎて、フランス人に怒られそう・・・(笑)。

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地元の方によると、最近はほぼ陸続きになっているとのこと。
砂が堆積してしまっているのでしょうか?

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島に渡り振り返ると美しい赤瓦の街並みが見えます。
まだまだ、日本にも素晴らしい風景がありますね。

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2018年09月23日

松江のお堀

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松江城が国宝になったのは記憶に新しいですが、
興味の対象は天守閣ではなく、船に乗ってお堀めぐること。

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お堀沿いには、縄手と呼ばれる武家屋敷が並び、

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あるときは船の下をくぐり、電動で屋根が下がり
全員が横に寝るというので有名ですね。

ここは川ではなく、お堀なので水は原則流れていないのですが、
宍道湖から水を入れたり、出したりと水位を厳密に調整しているからこそ、
この微妙な隙間を調整しているとのこと。

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民家を通ることもあれば、こんなところもあり、
変化に富んだ風景で、予想以上に楽しめました。

夜は地元に住んでいる友人と楽しく会食。
その後、お城周辺をお散歩しました。

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ちょうど、水燈路のイベント中。
特別な夜の風景も見ることもできました。

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こちらは、鳥取の「仁風閣」と似た、城内にある「興雲閣」。
残念ながら、夜遅くなってしまったので外観のみ。
お城の周りには菊竹さんの近代建築も点在し、
松江は歴史の重みを感じさせる風情のある街ですね。

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2018年09月22日

山陰の近代建築

菊竹清訓の代表作、出雲大社庁の舎が数年前、壊されてしまったので、
今、山陰の近代建築を一つあげるとすると、
満場一致で東光園ではないでしょうか?

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庭側から見た東光園外観。

天皇陛下も泊まった有名な旅館のようですが、
今は団体客も泊まる大衆旅館という位置付けのようです。
実際泊まった感想としては、ホスピタリティは決して悪くはないものの、
やはり旅館としては一流の高級感は感じられないのですが、
建築のデザインとしては、今なお異彩を放っているように思いました。

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内部空間で最も重要であろうと思われるロビーのこの柱。
伝統的な日本のデザインを感じさせながらも、
先進的な試みを感じさせる不朽の名作だと思います。

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ロビーから見える庭の設計は流政之。
今はなきニューヨークの貿易センタービルの彫刻で有名な方ですが、
ネットで調べると、ほんの数ヶ月前になくなったとのこと。。。

ところで、山陰には近代建築がたくさん残っていて、
東光園のある米子から車で30分の松江には、菊竹建築がたくさんあります。

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こちらが菊竹さん設計の島根県立図書館。

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こちらが島根県立武道館。やはり、設計は菊竹さん。

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そして、こちらも菊竹さん設計の田部美術館。
コールテン鋼の大屋根が特徴の建築ですが、
つくり方や空間性など、やや菊竹さんらしくない印象でした。

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こちらは、菊竹さんよりさらにさかのぼり、、、
丹下健三と師匠、岸田日出刀との共同設計の倉吉市庁舎。
残念ながら耐震補強がいたるところに施されていて、
空間性は完全に失われていましたが、、、
今でも大事に使われているのが印象的でした。

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ここから見える倉吉の町並みは美しく、
竣工当時、斬新なデザインの庁舎と対比が素晴らしかったことでしょう。

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そして、こちらは村野藤吾の米子公会堂。

閉館後に、わざわざ職員の方が丁寧に案内してくださいました。
耐震補強の際に倉吉庁舎のように空間性を損なわないように、
注意して工事を進めたとのこと。
米子市民に愛され続けているこの建物は幸せ者です。

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こちらは出雲から益田に行く途中の江津市の庁舎。設計は吉阪隆正です。
山陰にはたくさんの近代建築が健在ですが、老朽化が進んでいるので、
出雲大社の舎のように建て替えの可能性もあり得ますね。

とても濃密な時間を過ごすことができました。


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2018年09月21日

鳥取の砂丘と建築

山陰の東の端から西の端まで、車で横断してきました。
鳥取と言えば、鳥取砂丘。
砂つながりで、サハラ砂漠に行ったことがあるので、
正直、鳥取砂丘はやや馬鹿にしていたのですが(すみません)、、、
「ブラタモリ」を見て、行って見たくなりました(笑)。
そもそも砂丘と砂漠は成り立ちも違うので、
比較するようなものではありませんね。

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写真を撮ると立派な砂漠のようですが、、、空がやっぱり日本ですね。

戦前は陸軍の管轄するエリアだったので市街化されていないだけで、
西の端は地図上ではかなり離れた白兎神社と言うのだから驚きです。
つまり、鳥取市街地は砂丘の上にあるんですね。

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こちらが有名な急勾配の馬の背と言われるところ。
この起伏があるからこそ、美しい風景になっているようです。
砂が流れてしまう限界の角度30度とのことで、
勿論、この坂を登って、、、砂丘を体感。
この先には、海が広がっています。

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船で裏富海岸を巡りました。
透明度の高さがウリのようですが、あいにく海は荒れ模様。

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船に乗って海から見た鳥取砂丘です。

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駐車場の端で、勢いよくグルグルとイカが回っていて、、、
なかなかいい写真が撮れました(笑)。
スルメはこのようにして作るんですかね?

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鳥取市内では、仁風閣にだけ立ち寄りました。

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日本庭園越しに見る洋館は高貴な佇まいですね。

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2階はバルコニーではなく、ガラスで囲まれた真白な中間領域。
写真左側の窓の奥にはクラシカルな部屋が並んでいます。
現代の住宅の参考にもなる構成ですね。

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この後、三朝温泉に行きました。
増築をくり返して川沿いに温泉街の風景を作り出している旅館大橋。
全長120mで国登録有形文化財にも指定されているようですが、、、

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泊まったのはこちらの後楽。
八勝館を設計したことで知られる堀口捨己が設計した旅館です。

ただ、エントランス周りは確かにその残像は感じられるのですが、
あまり堀口捨己らしさを感じられず思わずフロントで訪ねてみると、
意外な事実が・・・

堀口捨己が設計した客室は現在の法規に不適合ということで、
従業員の部屋や倉庫として利用されているとのこと。
無理を言って特別に見学させていただき、
確かに堀口捨己の痕跡を確認できました。どうも有難うございました!

そして、次の日、朝一で投入堂へ。

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国宝、三徳山三佛寺投入堂。
建築関係者で鳥取に旅行と言えば、砂丘ではなく多くはこちら(笑)。

日本一危ない国宝とも言われ、
道なき道を登りようやくこちらに辿りつきます。

ところで、靴の裏がボコボコの靴を履いて行きましょう。
お持ちであれば登山靴が確実です。基本的には登山ですから・・・・・

僕は靴の検査でひっかかり、ワラジを買う羽目に。
雨上がりのぬかるみの道を、ワラジ(感覚的には裸足)で、
ドロドロになりながら登りました。
足が冷たく、足裏にクッションがないので膝が痛くなり、
今までで最も不快な登山でした。。。

そんなこともあって、砂丘の方が素晴らしかたです(笑)。

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2018年08月16日

奈良井宿

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こちらの写真は木曽の宿場町、奈良井宿の中村邸の裏庭につづく土間通路。
建築写真家の藤塚さんの写真集(文章は藤森さん)「日本の木造建築」に、
中村邸の写真が掲載されていて、久しぶりに奈良井宿に行ってきました。

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宿場町は奈良井宿以外にもあちらこちらに保存されていますが、
ここの凄さは建物の保存の状態が良いことは勿論、
今も昔と変わらずお店として機能していることです。
昔の宿は他の業態にかわったりはしているそうですが・・・

江戸時代は、漆塗りの櫛で栄えたようですが、今もその名残があって、
お土産というレベル以上の上質なものを扱っている店もチラホラ。

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こちらは、昔、櫛屋だったところが、一般公開している中村邸。
何も知らずに見ると、京都にありそうな町家のファサードですが、
実は奈良井宿にしかない特徴があとのこと。

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それがこちらの庇です。
猿が並んでいるようにも見えるので、猿頭というそうです。
先端が金物で吊られていて、人が上にのると外れる仕組みになっています。
宿場町らしい防犯です。

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こちらは他の家の1階ですが、1番上の板は家の内側に跳ね上げる蔀戸、
下と中の2枚の板は柱と柱の間に落とし込しんいます。

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こちらは中村邸の1階の内部から見た店先空間。
室内に扉が跳ね上がっているのが見えますね。
一本、柱が残っていますが、二本の柱は外して、
無柱の店先空間にもなるようで、
その他にも、一面障子にすることもできたりと、
かなりのバリエーションがあるようです。

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2階には大事な商談をするためのこのような床の間のある座敷も。

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もうひとつ公開されている建物(昔は番所)があったので、入ることに。

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中庭があって、裏庭には山を控えていることを除けば京の町家ですね。

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庭の緑は美しく、黒光りした床に映り込む緑も美しい!

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そして、たまたま立寄ったそば屋の徳利屋。
大きな吹き抜け空間と大架構、そしてトップライトから降り注ぐ光。
立派です。

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そして、帰りに木曽大橋へ。
太鼓橋の急なところは階段状なんですね。
雪が降ったら、急過ぎてすべりますもんね(笑)。
昔からあるものも、じっくり見ると面白いものです。

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2017年12月04日

山本長水氏の「かたつむり山荘」

四国の建築家の間で神様的(?)存在の土佐派の建築家、
山本長水氏をご存知でしょうか?

稱名寺本堂も掲載されていて、僕はその時に山本長水という名前を知り、
4、5年前に稱名寺本堂と武道場に行ってきました。

山本さんとは、徳島の山奥、祖谷の温泉宿で集合。
そこで徳島の建築家の内野輝明さんと、
山本さんのレクチャーをしていただき、その後懇親会。

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次の日の朝、日本三大秘境とも言われている落合集落へ。

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こちらは長岡家住宅。

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1970年代初頭、誰よりもはやく祖谷の魅力を発見したアメリカ人、
アレックス・カー氏は、今では古民家再生を通じて、
落合という限界集落の再生をプロデュースしていることが知られています。

古民家には宿泊もできるので、今では外国人もたくさん来ているそうです。
詳しくは、こちら

その後、いよいよ山本長水氏の「かたつむり山荘」へ。

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奥深い山間に建つ「かたつむり山荘」。
ねじれた屋根が特徴的な外観は、森にとけ込んだ佇まいですが、、、

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中はダイナミックでありながら落ち着く、素晴らしい空間です。

四半世紀以上経った今でも全く色あせない名建築も、
竣工当時、木造建築は建築家の仕事ではないという風潮もあって、
新建築といったメジャーな建築雑誌には全く相手にされなかったとか。

時代の先、あるいは違う方向に行ってしまうと、全く相手にされないということは、
ゴッホやモジリアニなど、絵画の世界でも同じようなことはありますよね。。。
ただ、建築は絵画と違って建て主から設計料をいただければ生きてはいけるので、
絵画とは少し違った側面もあるのですが、しみじみ考えさせられます。

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そして、高知市内の稱名寺本堂へ。
僕は2度目の訪問でしたが、今回は長水さんのご案内ということと、
知識がいろいろとついた今だからこそ見えるものあり面白かったです。
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2017年12月03日

和泉正敏氏の自邸

今回の四国はそもそも建築家協会関連で行くことなったのですが、
個人的に特に行きたかったのは、
和泉正敏氏の自邸と山本長水氏の「かたつむり山荘」。

集合して、まず、ジョージナカシマ記念館に行った後、
そもそも和泉石材の中にイサム・ノグチの工房があって、
そこが今はそのまま美術館になっています。
そこには民家を移築して、
改装したイサム・ノグチの家もあるのですが、
残念ながら撮影は不可なので、こちらの本を

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この撮影不可の家に泊まったことがあるというのが、、、佐藤由巳子さん。
JIA建築セミナーのまとめ役をやられている佐藤さんは、
イサム・ノグチがまだ存命の頃(つまり、美術館になるずう〜っと前)、
ジョージ・ナカシマの本、木のこころを翻訳中、こちらの2階に泊まったとか。
佐藤さんは和泉正敏さんとその頃からの知り合いということで、
和泉さんのご自宅を特別に拝見させていただくことができました。
和泉正敏ご本人にお会いしてご案内していただきお話をさせていただきました。

ただブログ等の掲載は控えて欲しいとのことで・・・
こちらの本、JAPAN LIVINGに掲載されています。

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ちなみに、MDSの目白の家こちらの本に掲載されています。

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和泉さんは石工なので、建築家の山本忠司さんとの共作。
この家の特徴である石はコツコツご自分で積み、
両側の石の真ん中にコンクリートを流し込んでいるとのこと。
現法規では成立しませんが、キチンと建っていますね。
リビングや和室といった見せ場大きな石が積まれていて、
壁というよりは強烈なアート作品です。
適材適所に石の表情を変えて空間を分節して、
スチールのトラスで作られた軽やかな屋根が、
その全体を覆うシンプルな構成。

以前から訪れて見たかった念願の空間を体感できて感無量です。


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2017年12月02日

秋のうどん県

うどん県と言って売り込む香川県。
勿論、うどんも美味しいですが、名建築もたくさんあります。
ということで、紅葉真っ盛りの香川県へ。

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早朝、羽田空港を発って香川空港へ。
レンタカーで最初に向かったのは、琴平町のこんぴら歌舞伎
旧金毘羅大芝居は1835年に建てられた現存する日本最古の芝居小屋として有名で、
舞台裏の隅々まで見学ができます。
一時はかなり荒れていたようですが、今は元の姿に修復されています。
その歴史についての詳細はコチラ

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枡席には昔は4人座っていたそうで、かなり狭いです。
今はひとつおきに間仕切りをとり、二枡に5人座るそうです。
昔は舞台に向かって右の2階の看板下が身分の高い人の席だったそうなのですが、
それは建物に入る入り口と深い関係あるようです。
建物の入り口は3つあって、右手が貴賓口でそのまま2階に上がったからで、
ちなみに、真ん中の躙り口は庶民の入り口で、左側はその中間とのこと。
他にも興味深い話が一杯ありますが、長くなるので・・・・・

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「こんぴらさん」とは海の神様、金刀比羅宮(ことひらぐう)のこと。
琴平に来たのはこんぴら歌舞伎を見学するのが目的ではありましたが、、、
快晴で紅葉も奇麗なので、参道の階段を登って金刀比羅宮へ向かいました。

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象頭山の中腹の金刀比羅宮からの讃岐の風景。

特徴的なカタチをした讃岐富士と遠くには瀬戸大橋が眺めれます。
海が見えるということは、海から象のカタチをしたこの山はよく見え、
金刀比羅宮は象の目のあたりだそうです。。。。
ところで、讃岐富士や象頭山といった不思議なカタチをした山は、
雨の少ないこの地域で、固い安山岩と柔らかい花崗岩が浸食する過程で出来たとか。

この後、向かったのは坂出人工土地。
ドコモモにも選定されているなかなか良い団地でしたが、
地方都市の荒廃ぶりは本当に深刻です。。。

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そして、山本忠司設計の瀬戸内海民族資料博物館へ。
「日本建築学会賞」を受賞した1973年竣工の作品ですが、
知らない人も多いのではないでしょうか?
僕も知り合いの方から薦められてこの建物を知り、はじめての訪問。

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石積みと杉板型枠コンクリートの建物が斜面に沿って分棟配置されています。
内外が曖昧な空間を庭を見ながら少しずつ上がって、
自然な流れで最後に最も高い屋上へ行くという動線計画。

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屋上からは瀬戸内海に浮かぶ島々が一望できます。
夕方になって雲が多くなり、ちょっとどんよりした雰囲気なのが少し残念。

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そして、日が沈むギリギリに高松市内の香川県立体育館へ。
今は使われていない丹下健三設計のとてもダイナミックな建築です。
丹下さんと言えば、代々木体育館。
そちらは世界遺産登録に向けた動きがあるようですが、
こちらの体育も取り壊されることなく残っていて欲しいですね。

そして、日が沈んでから、メインディッシュの掬月亭へ。
秋は夜間拝観できるという情報を聞きつけて、、、

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見て下さい!この風景!
あまり人気がないようでガラガラでした(笑)。

障子を開け放った状態を見たかったので(夏は障子を開け放つようです)、
その状態が見れなかったのは少し残念ですが、、、、確かに寒いです(笑)。

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あいにくの天候で月を掬うことができないと思っていたら・・・
雲の間から、一瞬、月が顔を出しました!
ライトアップの光が邪魔をして、月が水面に映っているようないないような???
はい、きちんと写っています!掬月亭で月を掬えて(?)大満足!?

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ライトアップされた鮮やかな錦鯉と植栽が、幽玄の世界をつくり出しています。
ところで、掬月亭は栗林公園は栗林が多いわけではなく、松が多いですね。

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他ではなかなか見れないライトアップされたこんな松も。

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公園の近くに泊まっていたので、次の日の朝も栗林公園を散策しました。
遠くに見えるのが掬月亭。夜とは違ったすがすがしい佇まいです。

以前、見学したことがあるので今回はスルーした丹下健三の高松県庁(耐震改修中)、
谷口吉生の丸亀美術館など、香川には名建築がたくさんありますね。



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2017年09月22日

特別公開の三井下鴨別邸と本野精吾邸

かなりブログをサボっていましたが、
夏休みも終わり、大学も始まるということで、
夏の出来事をまとめて書いていこうと思います。。。。

京都で特別公開される建築を毎年のように見に行っていますが、
今年の夏は、旧三井家下鴨別邸と本野精吾邸が特別公開されました。

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二つの川が交わる下鴨神社の近くに建つ3階建ての木造住宅です。
一昔前の木造の高貴な住宅を見る機会はなかなかないので、
このような機会はとても貴重ですね。

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出来たばかりの時は、庭の木はもっと低く、川と山が見渡せる絶景だったのでしょうね。

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そして、こちらは本野精吾邸。
特別公開は今回がはじめてのようでした。
docomomoに指定されている近代建築として重要な建物。

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今では、確認申請は下りないコンクリートブロック造ですが、
数回の大地震も乗り越え、ちゃんと建っています!
詳しくは、ここで説明するのは難しいですが、画期的な工法で出来ています。

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勿論、防水、止水などの性能面ではかなり問題はありますが、
今、見ても斬新と思えるところあって、全く古さを感じさせないデザインです。

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こちらは数年前に出来た国立博物館。
少し離れたところにあるので(?)なかなか来れず、、、、今回がはじめて。
ザ・タニグチですね。

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2017年03月28日

佐賀の近現代建築

飛行機に乗るまでのわずかな時間で、佐賀市内の建築を見学しました。

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こちらは、第一工房+内田祥哉の佐賀県立博物館。
十字形のプランの展示室が浮いた、斬新かつ明快な名作。

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角度を変えて見ると、かなりダイナミック!

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こちらは佐賀県立図書館。こちらも内田祥哉+第一工房の設計です。
ザ・近代建築ですね。

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こちらは今井兼次の大隈重信記念館
ルドルフ・シュタイナーのゲーテアヌムを彷彿させる建築です。

これらの建築を足早にまわりましたが、
モダニズムとその限界を感じてその先に行こうと試行錯誤するその時代の空気感を、
足早に廻ったからこそ、むしろ感じとることができたように思いました。

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2017年03月26日

ドリアンと漏斗

佐賀は正直、やや地味な印象がありますが(すみません!)
奇抜なデザインの建築がいくつかあります。

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こちらは坂倉準三が設計した体育館。
平面は楕円にイガイガがついたドリアンのようなカタチ。

坂倉準三と言えば、ここで説明するまでもなく、ル・コルビジェの弟子であり、
上野の西洋美術館や鎌倉の神奈川県立美術館のような近代建築を設計した巨匠。
コルビジェがロンシャン教会を設計したように、
坂倉も造形的な奇抜なデザインをしたかったのか???

大いなる期待を抱き、中に入ったのですが・・・・
残念ながら、内部空間からは、訴えかけるものは・・・

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そして、外に出て、正体して全景の写真を撮ろうとした時に、、、
何かやら、センターに気になるものが(?)。

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近寄ってみると、こんなことになっていました!
屋根の雨水は、ここを流れくるのですね。素晴らしい!
是非、雨の日にもう一度来たい建物です。

実は、ここに立ち寄る前に、佐賀空港のそばの民家に立寄ったのですが、
その民家と同じ考え方なのです。
どちらも、有名な建物なのかしれませんが、勉強不足で僕は知りませんでした。

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こちらが、山口家住宅。
この地域でしかほとんど見られない「漏斗造り」の民家です。
重要文化財の住宅ですが、今も山口さんがお住まいですが、
中も拝見させていただきました。

外観だけみるととりわけ特別なものにも見えませんが、、、
中に入ると、とても斬新なことになっていました。

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なんと、屋根のセンターがくぼんでいて、まさに漏斗のように雨水を集め、
この大きな瓦の上を雨水が流れるとこと。
大雨の時が心配ですが、茅葺き屋根なので、雨音は聞こえず、
しみてきた水が常にチョロチョロと流れるとのことです。

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そして、その雨水はこちらに!
おお素晴らしい!ここも、是非、雨の日に再訪したいです!

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この「漏斗造り」の奇抜なデザイン(?)の住宅は、
坂倉準三のドリアンより遥かに昔に建ったもので、
民家は古いものとひとくくりには出来ないですね。。。

ちなみに、佐賀にはもひとつこの地特有の形式「くど造り」というのがあります。

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こちらが、「くど造り」の民家。
左が国の重要文化財の川打家、右が市の重要文化財の森家。
なぜ、森家が格下なのか(?)が気になるところですが、
それはさておき、ななめから見ると二軒ではなく、四軒に見えます(笑)。

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コの字型の平面を持つ不思議なカタチをした民家ですが、
なぜこのようなカタチになったのかは諸説なるようですが、
その理由はハッキリわからないとのこと。

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谷になったところはこのようになっていて、
「山口家住宅」のように雨水が流れる工夫がされています。

雨水をデザインに取り入れた建築と言えば、
林昌二が設計したパレスサイド・ビル(毎日新聞社)が有名ですが、
佐賀のこれらの建物もその名作に負けていませんね。
日本は雨が多いので、雨が降った時に楽しみたいものです。
そんな気分にさせれた建物たちに、立て続けに出会いました。

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2017年03月25日

川下りと鰻@柳川

「大正屋」には、佐賀空港からレンタカーで行ったのですが、
チェックインまで少し時間があるので、
空港から30分ほどの柳川にちょっと立ち寄りました。

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柳川と言えば、川下り。
ただ、川下りとは言うものの、正確にはここは川ではなくお堀。
つまり、水は一方向に流れていないそうです。知らなかった。。。

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船を降りたタイミングで、雅楽の伴奏つき結婚式に向かう船団が・・・

ここの料亭にも行ってみたかったところですが、今回は時間がないのと、
大広間は今は改装中で見れないとのことのなので、また次回のお楽しみに。

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しばらく、待っていましたが、なかなかやって来ないので、望遠で(笑)
雅楽の演奏をする人たちの乗った船の後ろに、新郎新婦の船。

そして、急いで若松屋へ。花より団子ならぬ鰻です(笑)。
なんとなく、鰻と言えば、蒲焼きが食べたい気分でしたが、
やはり折角なので柳川名物「鰻のせいろ蒸し」を注文。

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こちらが「鰻のせいろ蒸し」。

そして、一口食べてみると、、、、、、
予想を遥かに超えた、驚きの美味しさです。久々に感動しました!
鰻は柔らかく、そして芳ばしく美味しいのですが、下のご飯も絶品です。

ほんの2時間程の柳川でしたが、最高のひと時でした。



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2017年03月24日

吉村順三の「大正屋」

久しぶりの休日、佐賀の嬉野温泉、大正屋に行ってきました。
知る人ぞ知る(?)「大正屋」は建築家・吉村順三氏の設計の旅館です。
「匠たちの名旅館」の著者である稲葉さんによると、
京都の俵屋旅館などの吉村さん設計の旅館の中で、
ここが最も設計当初の状態で残っているとのことで、
以前から、一度泊まってみたかった旅館の一つです。

早めにチェックインをして、「水晶の間」「菊の間」など、
泊まる部屋以外も拝見させていただき、離れの衆芳亭へ。

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こちらが、今回泊まった離れの「衆芳亭」。
本間の他に茶室と専用庭のついた「大正屋」の中で最高峰の特別室。
二人で泊まるには、ちょっと広すぎでした(笑)。

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前室から本間越しに庭を見たところ。

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畳から一段下がったところにある座面の低い椅子に座ると、
庭と連続しつつも、畳に座った人とも同じアイレベル。。。

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プライベートの庭に出て、ちょっと散策することもできます。

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こちらの茶室からも、本間とは趣の違った庭の風景が眺められます。
外枠と中桟が同じ太さのいわゆる吉村障子。随所に吉村順三のディールが・・・
確かに、あちらこちらに神が宿っていました(笑)。

あちらこちらの写真を撮っていると、休む暇もなくチェックアウトの時間に。
とても、勉強になりました。

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2017年01月23日

五重塔が見える景色


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次の日の昼、八坂のザ・ソウドウに行きました。
数年前に一度夜に来たことがあるのですが、
今回、予約したのは2階角の個室。

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そこから見える五重塔が見える景色は素晴らしく、
ちょうど雪がちらつき、まさに冬の京の風景でした。
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2017年01月22日

西翁院・澱看席

JIAセミナー解散後、特別公開中の西翁院の澱看席を見学に行きました。
茶人・藤村庸軒の茶室で、師匠の宗旦の三畳敷とよく似ていて、
点前座と客座との境に中柱を立てて仕切壁をつけ、
そこに火灯口をあけて「道安囲」とよばれる構えの名茶室。

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写真撮影はNGなので、こちらは入口からの写真。
たまたま見つけたこちらの特別公開は、なんと13年ぶりののようです。
茶室にご興味のある方は必見です(3月18日までです。)。

澱看の席を見学した後、そこから歩いて茂庵というカフェへ。
その途中にある、大正時代のレトロな街並を横目に吉田山の山頂へ。

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建物も楔をつかった木造の趣のある雰囲気で、今、人気のスポットらしい。

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木々の隙間から京都市内を眺めながら、美味しいケーキを頂きました。
まだまだ行ったことがないところが沢山ありますね。。。。。



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樂焼の伝統と今


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翌朝、樂さんのご自宅の横にある樂美術館へ。

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こちらのスペースで、樂さんのお話を聞きました。
庭のあちら側に見えるのがご自宅。

祇園で昼食を済ませて、京都国立近代美術館で樂さんの展覧会、

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展覧会の図録の中で樂さんは次のような文章を書いていました。

初代から二代、三代さらには本阿弥光悦までを「創成期」と捉えて、
その部分を充実させると共に、「今」すなわち現代を「創成期」同様に充実させる。
また、「創成期」と「今」、その間の歴代の作品を伝統と創造の営みとして、
一筋の道のように過去と現代を結ぶ。
それは過去と現在を結ぶ能舞台にかかる橋掛かりのようでもある。

実際の展覧会を訪れると、茶碗にとりわけ詳しくない僕にとっても、
ズラリと並べられると、「不連続の連続」と言われる樂焼が、
どのように引き継がれてきたのかがよくわかる素晴らしいものでした。
一子相伝と言っても古いものを単に引き継がれているのではなく、
もしろ、樂吉左衛門というアーティストの前衛芸術ですね。

こちらの展覧会は2月12日まで京都で開催されていますので、
是非、ご覧になっていただければと思います。
ちなみに、東京国立近代美術館で3月14日〜5月21日で、
同じ展覧会が東京でも開催されるようです。

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2017年01月21日

樂吉左衛門の茶室

私が実行委員をつめるJIA建築セミナーで、樂吉左衛門氏に講演をお願いしました。

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千家十職の樂焼十五代当主の樂吉左衛門氏。
琵琶湖のほとりにある樂さんの茶室で、
その茶室について直接お話を聞く貴重な機会でした。

茶室と言えば、一般的な数寄屋建築をイメージしがちですが、
樂さんがそんな様式にとらわれる茶室をつくるはずもなく、
伝統的なものから、何をもらい、何を変換し、何を捨てるかを真剣に考え、
試行錯誤の結果として、この茶室ができたとのこと。
ちなみに、最初に捨てたのは土だそうです。
茶室は非日常の場所だが、非日常と言ってもそれは精神の非日常であるなど、
とても奥の深い貴重なお話に感服しました。
また、千利休の時代から続く重くのしかかる伝統を継承しつつも、
現代に生きる前衛的なデザインを作ろうとするその姿勢には、
非常に心を打たれました。

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滋賀県の琵琶湖のほとりに建つ佐川美術館。
あちらに浮かぶのが、樂さんがつくった茶室です。
実は、小間を含む、ほとんどの部分は水面の下にあります。

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佐川美術館とその増築部分の茶室の設計者、
竹中工務店の内海さんに茶室をご案内していただきました。
今回は、建築家協会のセミナーということもあり、
特別に小間の中にもあがらせていただきました!感激!

かなりの時間とコストがかかったようですが、
「急かさざること おいとい無きこと ご指導無きこと」
つまり、お金、時間、そして、建主が口出ししないとのことが、
小堀遠州(?)が言ったとされる良いものができる3つの条件だそうですが、
この茶室はその条件を満たしているとのこと。

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樂さんのこだわりで水面すれすれです。
前衛的な茶室ですが、きちんとお点前のできる素晴らしい茶室でした。

見学が終わったあとは近くの温泉宿に泊まり、懇親会。
同じ部屋となった竹中の内海さんとは夜遅くまでお話させていただき、
内海さんにはご迷惑だったかもしれませんが(笑)、
とても勉強になる楽しいひとときを過ごさせていただきました。
どうも有難うございました!

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2016年05月23日

五月晴れの犬島と豊島

三分一と初見先生一行と別れた翌日の朝、船で犬島へ。

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三分一の代表作の犬島精錬所美術館。
さすがは建築学会賞受賞のレベルの高い作品でした。
熱や風と言ったことが注目されるこの建物ですが、
アーティストと建築家の境界のない、
鏡に映り込んだ不思議な光の世界が素晴らしかったです。
その後、家プロジェクトを見て、豊島へ。

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西沢立衛さんが設計した豊島美術館。
鳥のさえずり、風の音など、わずかな音をひろい、
見えないものも館内で拡張されて、自然を感じます。
しばらくしてから、小さな音楽が流れていることに気づいたのですが、、、、
不思議なことに外に出ると聞こえない(?)。
受付で「どこで音楽をかけているのですか?」と聞くと、
音楽はかけていないとのこと。
どうやら遠く離れた街の移動式パン屋さんだったようです(笑)。

内藤礼のアーティスティックな空間でありながらも、
周りのそんなわずかな音までもひろう不思議な空間でした。

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そこから眺めた棚田越しの瀬戸内海。とても美しいですね。


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2016年05月22日

「直島ホール」と「またべい」の見学

遅ればせながら、、、はじめて直島に行ってきました。
直島ホールの設計者、三分一博志氏は大学の研究室の同級生で、
その研究室の恩師である初見先生と「直島ホール」と「またべい」を
見に行くというのが今回の直島視察旅行の主な目的でした。

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直島ではその他にも、家プロジェクト、地中美術館などにも行きましたが、
どれもレベルが高く、とても濃密な時間を過ごすことが出来ました。

三分一と初見先生一行と別れて、直島に一泊することに。
直島と言えば、ベネッセハウスに泊まるのが定石かもしれませんが予約で一杯。
どうせ他のところに泊まるならということで、
ちょっと変わったところで、パオに泊まることに。

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パオはモンゴルの遊牧民の移動式住居なので
本来は海のない草原にあるはずなのですが・・・・・
海沿いのとても不思議な風景ですね。

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パオと言っても現代的なものですが、、、、、

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波の音を聞きながらパオで眠るという不思議な体験ができました。

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月と草間弥生のカボチャ。
行き交う船と、遠くに見える高松の夜景を眺めながらビールを飲む。
これもまた、なかなか良いひと時でした。

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2015年09月27日

赤神神社五社堂と八郎潟

久しぶりの秋田出張。
一日は「秋田の家」の撮影で、予備日の一日で男鹿半島に行ってきました。

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行きの飛行機から見た雲海に浮かぶ富士山。

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秋田は晴れ。
左に見えるのが男鹿半島で、秋田市内は右側です。

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秋田と言えばなまはげ。なまはげと言えば男鹿半島ですが、
その男鹿半島にある赤神神社五社堂に行ってきました。
神秘的な(やや不気味な?)雰囲気な時にいった方が良さそうでしたが、
残念ながら(?)清々しい秋晴れの昼過ぎ。。。
歴史上はそれほど重要な神社ではないかもしれませんが、
5つお社が並ぶ様は、やはり不思議な印象を受けました。
雪の重みを考慮して軒先に柱が落ちていたり、風化して白くなった木など、
特徴的なところが多々ありますね。

その後、干拓地として有名な八郎潟に立ち寄ってみました。

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限りになくフラットな大規模な水田が続きます。

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運河は干拓地らしい一直線。

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道路も真っ直ぐ。

中学校(?)で習った八郎潟。通り過ぎただけですが、それなりに楽しめました。

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2015年09月15日

「鶴林寺」と「浄土寺浄土堂」そして「箱木千年家」

JIAの関西ツアーの次の日は、神戸を拠点に古建築巡り。

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まず、加古川の鶴林寺へ。折衷様を代表する寺院。
昼食後、北上して浄土寺浄土堂へ。

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こちらが浄土寺浄土堂。残念ながら内観の撮影は不可。。。
東大寺の再建の10年程前に試しにつくったと言われていますが、
東大寺南大門よりも純粋な大仏様とされる建築学的にはとても重要な建物です。
一般の方にも西日をバックに仏様が浮かび上がる様は有名なようですが、
建築家の視点としてはやはりその架構の美しさにも感動です。

7月下旬から8月上旬の午後4時前後の晴れた日が一番良いとのこと。
また、是非、行きたいところです。

そして、西に移動して、箱木千年家へ。

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こちらが日本最古の民家のひとつとされている箱木千年家。
屋根の軒の高さはとても抑えられていて、軒先は僕より低いくらい。

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軒を低く抑えて、土壁を風雨から守っています。

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まだ台鉋がない頃の民家なので、板はでこぼこ。
当時としては恐らく普通の仕上げですが、今では高級な仕上げです(笑)。

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室内はとても暗いのですが、でこぼこの仕上げがとても美しいですね。

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外から見ると小さく見えますが、中はダイナミックな空間になっています。
現代の設計でも参考になるところは沢山ありますね。
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2015年09月14日

「興福寺」と「東大寺」そして「奈良ホテル」

JIAのセミナーの前日に奈良に行ってきました。
今年2度目の奈良。最近、奈良にちょっとはまっています。

興福寺北円堂が特別公開中ということでそちらに立寄り、東金堂を見学。
隣りの東大寺の再建は重源の当時としては革新的な大仏様であるのに対して、
ほぼ同時期の再建の興福寺は平安の古典的な和洋の建物なのですが、
北円堂は少し大仏様の影響を受けている・・・・・・・
話が長〜くなるので、この辺りで(笑)

興福寺の池を挟んだ対岸にある奈良ホテルへ。

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クラシカルな雰囲気の一度は泊まってみたいホテルですが、今回はランチだけ。

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通された席は窓際の興福寺の五重塔が見える席。
さくっとカレーを食べて、東大寺へ。

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鹿がお出迎えの東大寺の南大門。
力強く飛んだ貫が素晴らしいです。。。。

数少い現存する大仏様の南大門は、建築学的にもとても重要な建物で、
日本の伝統工法の特徴である貫の原点となる建物のひとつです。
重源が中国から当時の最新技術を取り入れてつくったもので、
その不思議な架構は当時の人々を驚させたことでしょう。

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大仏殿は江戸時代に再建されたものですが、
大きな木が枯渇してないということで、木を束ねて鉄でバンド巻きした柱に、
力強く貫がそれらを繋いでいます。
建築を勉強する前は、大仏の大きさに感動しましたが、
今はその空間は勿論、その斬新な架構に感激です!

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大仏の後ろにひっそりと模型が置いてありました。
手前が現在の大仏殿。その隣りが鎌倉時代に再建されたもの。

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現在のものより横にもう少し長く、外観は今のものより美しいですね。
現在の南大門をつくった重源による大仏様による建物ですが、
大仏殿も残っていたら、壮観だったことでしょう。

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こちらは創建当時の大仏殿。
平家がこの立派な寺院を焼き払ったと思うと、それはそれで驚きですね。
これらの3つの模型を比較していると、すっかり夕方になってしまいました。。

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大仏殿と二月堂を結ぶ有名な裏露地。先に見えるのが二月堂。
くねくねと道が曲がり、次々に見える風景が変化します。

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二月堂から見える夕暮れ時の奈良。
観光客はすっかりいなくなり、古都らしい風情が味わえます。

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そして観光客がいなくなった南大門をゆっくりと見学。

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大仏殿もうっすらとライトアップされていて、昼とは違った神秘的な雰囲気です。

小学生が修学旅行に行くようなところは、やはり素晴らしいですね(笑)。
今は当時と全く違った視点で見るので、その頃とは違ったものに見えるのですが、
やはり良いものは良いのだと改めて感じる今日この頃です。
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2015年09月13日

島田陽氏の住宅と竹中大工道具館

関西ツアーの二日目は少し現実に戻って若手のものをということで、
島田陽氏の「川西の住居」と「六甲の住居」を拝見させていただくことに。

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二日目も天気が良く、「六甲の住居」からの眺望が最高でした。
そして、最後は新神戸駅の近くの竹中大工道具館へ。
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精密な木架構を可能としたカンナやノコギリの歴史をはじめ、
貫構造を可能としたノミなど、貴重な大工道具がずらりと展示してあります。

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唐招提寺金堂の原寸大の組物が、普段は見れない位置から見れたり、

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屋根架構を間近で見ることができます。
ソリが三次元に入いるため、ひとつひとつの部材すべて異なっているなど、
宮大工の技の数々に、正直、圧倒されます。。。。
じっくり見学がすると数時間かかるとても充実した展示です。
学生も含め、建築関係は必見です!

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建物の説明は設計者の中西正佳氏にしていただきました。

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京都の大徳寺玉林院にある茶室「蓑庵」の写し「一滴庵」を、
特別に拝観させていただきました。

とても充実した二日間でした。
ツアーにご参加いただいた方々もご満足いただけたのではないでしょうか?
皆様、どうも有難うございました。

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2015年09月12日

竹原義二氏×横内敏人氏×中村義明氏@京都

日本建築家協会、JIA建築セミナーで関西に行ってきました。
関西ツアーは僕の企画で、初日は関西の重鎮を訪ねることに。

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朝早くに大徳寺高桐院に集合。
ここで建築家の横内敏人氏にご案内して頂くことになっていましたが、、、、
お寺の都合により拝観できないということに。
スタート早々、予定外の展開。急遽、大仙院へ。

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次に向かったのは中村外二工務店。
俵屋といった高級旅館、菊乃井といった高級料亭、そして京都迎賓館など、
日本を代表する極上な木造建築を手がける数寄屋大工の最高峰です。
代表の中村義明氏に、ショールームと工房を詳しくご説明頂きました。
昼食は横内氏と中村氏とご一緒させていただき、
とても濃密な時間を過ごしました。

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午後一は竹原義二氏設計の一保堂へ。
一保堂の美味しいお茶をいただきながら、
竹原氏にレクチャーしていただきました。

その後、横内敏人氏のアトリエへ。

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こちらはゲストハウス。まず、その周辺環境に素晴らしさ驚きました!
竹原氏(手前帽子をかぶった方)も、すっかりくつろいだご様子。
中村外二工務店の数寄屋大工の技の数々がちりばめられた上質な空間。
一見、古風な建物にも見えますが、ガラスが大きく現代的ですね。

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そして、アトリエで竹原氏と横内氏に対談していただきました。
関西には伝統技術を継承する職人が多く、
建て主も関東とは少し異なるようです。
関東とは自ずとつくるものも変わってくるとのこと。
とても興味深いお話がたくさん聞けて良かったです。

夕食は、竹原氏と横内氏と南禅寺の近くのレストランへ。
本当に濃密な一日でした。どうも有難うございました。

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2015年08月17日

20年に一度の台風直撃の台湾

今回の台湾視察は建築家協会のセミナーの企画でしたが、
同じく実行委員の宮さんと前日入りして九份へ。

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台風の上陸直前だというのに定刻通り台北に到着、急ぎ九份へ。
台風が来ているというのに意外と人が多くて、、、、少し安心しました。
宮崎駿の「千と千尋の神隠し」のモデル地とされる定番の茶館でお茶をしたり、
(モデル地でないという話もありますが・・・なかなか良いところでした。)
食事をしたり、ぶらぶら散策していましたが、
さすがにどんどん人が少なくなってきたので、
そろそろ帰ろうと坂道を下りていくと、、、、、

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左手のレトロなお店が気になり、、、、
ちょうどその時、雨がやや小降りになってきたので、
少しだけビールでもと立ち寄ることに。

すっかり夜もふけて人もいなくなり、、、慌てて台北へ。
暴風雨でバスはガラガラで、ちょっと不安になりましたが、
ほろ酔いで気分で一眠りしている間に、
気がついたら台北に無事到着していました。。。。

そして、朝起きて驚きの光景が、、、、

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昨日、帰りに通ったあたりの街路樹はバタバタ倒れていました。
この日は日本からの飛行機が来なくて、見学は中止となりホテルで待機。
夜にようやく飛行機が何便か到着して、奇跡的にほぼ全員集合。

次の日は朝からバスで台中へ。
伊東さんのオペラハウスと安藤忠雄さんの美術館といった現代建築の他に、
三合院と旧市街を明治大学の青井先生引率で見学させていただきました。

そして、最終日は、宜蘭と台北市内を見学。
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台湾の建築家フィールドオフィス・アーキテクツ設計の役場や、

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伊東さん設計の国立台湾大学図書館などを見学。

20年に一度の台風直撃の台湾。
一部行けないところもありましたが、メインのものはすべて見れました。
ご飯もおいしく、とても充実した視察旅行でした。。。

ところで、日本では台風一過という言葉がありますが、
台湾では台風が去った後、一週間程天気が悪く、
その長雨で被害が拡大するそうです。

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2015年08月16日

台中オペラハウスに行ってきました!

伊東豊雄氏設計の台中オペラハウス。
JIAセミナー実行委員長の福島さんが伊東事務所出身ということもあり、
まだ工事中の現場を特別に見学させていただきました。

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伊東事務所の所員さんと福島さん、冨永さん、明治大学青井先生。

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1階はもう少しで完成といったところ。
外の光が差し込み、光と影がつくる美しい曲面の壁が印象的。

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ホールエントランス階の床は、赤いカーペットが敷かれているということもあって、
模型のイメージと違って「床」の存在を強く感じます。
オペラハウスという用途上、建築の概念だけではつくれないというところが、
この建物の難易度をさらに引き上げていますね。

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劇場内はオペラハウスらしい色っぽいインテリア。

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曲線と適度な装飾が美しいですね。

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こちらは最上階の5階。この建物にこんなところがあったのですね。
最上階は構造上、壁と柱がどうしても必要であったとのこと。
そこを敢えて「男らしく」見せているとの説明を受けました。
設計をしていると、いろいろなところで破綻をきたしますが、
それをどのように解決するかが、いつも悩むところです。。。

この建物は構造や空間構成などが話題になっていますが、
スプリンクラー、防火区画など、様々な地味なところを解決するところの方が、
よっぽど大変で、膨大な時間がかかっているとのこと。

あらゆる意味で考えさせられる建物でした。
来年末くらいには(希望?)オープンするようです。
私が申し上げるまでもなく、建築関係者は必見の建物です!

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ところで、屋上から見下ろすと、外構の植栽がほとんど倒れていました。
台風直撃が多い台湾ですが、今回は20年に一度の大きな台風だったようです。

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2015年06月15日

木とコンクリート。そして、石積み

僕が実行委員を務める建築家協会の建築セミナーで、
竹原義二さんにレクチャーをしていただくお願いするために、
大阪のご自宅に伺いました(正確には、伺わせていただきました)。
竣工は10年以上前になると思いますが、
タガヤサン、ウォールナットといった広葉樹と、
荒いコンクリートがつくり出す独特な空間が今でも新鮮です。
広葉樹は一般的に構造材として使われる杉や檜などの針葉樹と違って、
とても固く、施工が極めて難しいのですが、独特な木目や色が美しい。
そんな木とコンクリートの特殊な構造でつくられた家を、
是非とも拝見したい旨をお伝えして、念願が叶いました。

実際に訪れると、予想を遥かに超える空間が広がっていました。
写真や図面では伝わらない世界です。
素材の力を引き出した上で、複雑に外部と内部が混在する空間。
立体的な町家のような趣もありますが、
それとはまた違っているような・・・・・
あれこれ考えさせられてしまう空間でもありますが、
そんなことはどうでもよくなる心地の良い空間です。
感動しました!

その後、竹原さんの車に乗せていただき、事務所へ。
事務所を少しご案内していただいた後、昼食。
そこで、石積みのことや、慈光院の凄さなどなど、
とても面白いお話を拝聴させていただきました。
貴重なお時間を裂いていただきまして、
竹原さん、そして奥様、本当にどうも有難うございました。

お礼を言ってお別れした後、早速、話にあがった大阪城へ。

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「あやをなす」石垣。

殿様に呼ばれて城に行く時と、お勤めを終えて帰る時とは、
石の見え方(見せ方)が違うとのこと。。。。
なるほど。
その当時に想いに馳せて見なければ、見えてこないものがあるんですね。
竹原さんは敢えてそれ以上、多くは語らず、、、流石、教育者です。

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実際に行って見ると、よく分からないのですが(笑)、
お城に向かう時は(殿様の威厳を示す為に?)目に入ってくる石は巨石が多く、

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帰りは(落ち着いた気持ちで、ゆっくりと歩くので)、
どちらかというと凝ったものが多いような・・・・(?)
石積みも奥が深いんですね。

午前中は竹原さんの自邸の広葉樹とコンクリートがつくる圧倒的な空間。
そして、午後は石がつくり出す圧倒的な城壁。
素材の持つ力についてとても考えさせられる一日でした。

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2015年06月14日

慈光院の刈り込み

建築家同士で古建築について話をしていると、
しばしば話題にあがるものに奈良の慈光院があります。

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僕が慈光院を訪れるのは今回がはじめて。

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お茶を頂きながら、広縁越しに遠くに見える山々と近景の庭。
確かに素晴らしく、説明は全くいりません。
ただ、中景に見える平野に建つ建物がかなり気になります。。。。
この風景が何かと問題になっていることは知っていましたが、
なぜ植栽でそれを隠さないのか・・・・(?)

桂離宮や無鄰菴など、京都では昔は遠くの山々が見えたが今は見えない、
という話はよく聞きます。当然木は成長するので、
実は今、私たちが見る風景はつくった当時とは違うのです。
木が高くなることで、周辺の高いビルが見えなくなるので、
まあそれはそれで良いのかと思っていましたが、
ここから見える植栽も含む風景が変わっていないことが重要であって、
その全く変わらないことがとてもエネルギーがいることなのだそうです。
つまり、この植栽の刈り込みこそが素晴らしいとのこと。
なるほど。。。。
そのようなお話を、見学した次の日に、竹原さんに教えていただきました。
まだまだ知らないことだらけです。。。。

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2015年05月02日

由布院・山荘無量塔

由布院に行ってきました。
ところで「湯」布院という文字も見たことがあるような気がして、
ちょっと調べてみると、、、市町村合併でいろいろ変遷があったようで、
盆地内は「由布院」、広域では「湯布院」のようですね。

ところで、由布院と言えばやはり御三家、
そのどこに泊まるべきかを考えるのが悩ましくもあり、楽しい時間。
お隣の別府と差別化して由布院をブランド化した老舗「亀の井別荘」、
後発にもかかわらず、御三家の地位に上り詰めた「山荘無量塔」、
どちらも気になりますが、悩んだ末に「現代性」という点で勝る後者に。

朝一の飛行機で大分空港へ着き、バスで1時間ほどで由布院、
そして、街を散歩しながらまず、「亀の井別荘」へ。
その敷地内の「湯の岳庵」で開店早々、人が少ないうちに昼食、
その後、「天井桟敷」でお茶をいただきました。
新緑が美しく、食事もおいしく、人気があることにうなずけました。

そして、チェックインの時間にあわせていよいよ「山荘無量塔」へ。

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少し中心部から離れていて、宿泊客以外はほとんどいないので、
むしろ御三家の中では最も立地が良いと言えるかもしれません。
到着すると、道端でお出迎えの副支配人に「森様でしょうか?」と訪ねられ、
その後、関連の売店、バー、美術館などのどこに行っても、
「森様、・・・・」と、必ず名前を先につけてお話が始まり、、、
感服すると同時に、どうして名前が分かるのかなと思いました。
やり過ぎとさり気なさのギリギリのラインを狙う事が、
一流の接客なのかもしれませんね。勉強になります。

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玄関の扉をくぐった先、外から入ると暗く感じる空間が広がり、
その突き当たりがこの風景。

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落ち着いた暗がりに、作り付けのベンチと暖炉が。

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こちらは民家を移築した茶寮柴扉洞。
この囲炉裏のあるスペースを取り巻くように個室が配置されいます。
我々は朝食はこちらでいただきました。
夕食はこちらの食事をお部屋で頂きました。

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天井を見上げると、民家の力強い木架構。
山荘無量塔の真骨頂は民家を移築し、モダンな旅館をつくること。

客室も民家の一軒家を現代の旅館として使いやすいようにアレンジしたもので、
代表的ないくつかの部屋を見せて頂きました。
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こちらは古民家を改装した「吉」というお部屋。
暖炉をつくり、北欧家具や李朝家具など、
オーナーが世界中から探してきたものが置いたりしています。

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私たちが泊まったお部屋はこちらの「暁」。
民家移築という手法でなく、それとは違った手法でということで、
10年くらい前に実験的につくられた部屋だったそうです。
とてもよく考えられていると思いましたが、強いて何かコメントするとすると、
リビングに面するテラスに直接行けないということぐらいでしょうか?

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宿泊客専用の談話室。とても心地よい空間です。

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天井を見上げると、ダイナミックな新旧の混じった架構。

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そして、こちらは「Tan's bar」。
こちらも民家を改装した素晴らしい空間。

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正面の赤いスピーカーから、とても美しい音色が。

蕎麦処、美術館など併設されていて、
チェックイン後(チェックアウトまで。正確にはそれ以上)、
全く外に出ずに堪能しました。とても素晴らしい旅館でした。

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2015年04月29日

勧学院客殿と光浄院客殿

次の日は、滋賀の園城寺へ。

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勧学院客殿と光浄院客殿。
今さらながら(?)日本建築を勉強していくと、
次から次へと興味が湧いてきます。
この二つの建物は寝殿造りから書院造りの切り替わる頃の重要な建物で、
園城寺の中にある初期の書院造りの建物です。
歴史はやはり時代の大きな変わり目がとても面白く、
現代の建築デザインを考える上でも、
たくさんのヒントが詰まっている気がします。。。

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こちらが、勧学院客殿(内部は残念ながら撮影不可)。

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こちらが、光浄院客殿の外観(こちらも内部は残念ながら撮影不可)。
興味がない人にとっては、普通の寺に見えるかもしれませんが・・・(笑)。
この二つの建物は、門からの佇まい、プランなどとても似ています。
柱の落とし方、庭と縁側の関係、そして部屋の分割方法などなど、
その相違点をよく観察し、作り手が何を考えたのかと思いを馳せるのが面白く、
また次の興味が湧いてきます。。。

どちらの建物も通常は拝観できませんが、事前予約すると拝観できます。
貸し切りで静かに拝観できる上、きちんと解説もしていただけますので、
むしろ予約制は歓迎ですね。。。

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園城寺の金堂の美しい屋根。
日本の古建築や木造建築をあまり知らない頃は、
形やそこにある雰囲気のようなものにしか興味がありませんでしたが、
架構やつくり方など様々なことに興味がある今は、
同じものを見ても全く違ったものに見えてくるのが不思議です。

この後、昼食をはさんで石山寺へ。
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本堂の大屋根をバックに新緑の若葉。
檜皮葺きの大屋根がまるで大地のようですね。。。。

滋賀は京都と違って、全く人がいなくて、驚きました。。。
日本には素晴らしい建築がたくさんありますね。

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2015年04月28日

菊乃井本店

親の長寿祝いで菊乃井本店に行ってきました。

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言わずと知れた京都、いや日本を代表する老舗料亭。
夕方の少し早い時間に行って、代表的なお部屋を拝見せていただきました。

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お食事をいただいたのはコチラのお部屋。
電話で予約の際にこちらを手がけた中村外二工務店云々という話になり、
我々が建築関係者と察して、新しくつくったお部屋へという気遣い(?)。
白木の清楚なお部屋で、庭も美しく、食事も極上。すべてが完璧でした。

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床板はセイヨウトチノキの一枚板。床柱は北山杉。
天井は美しい木目の霧島杉を編んだもの。
奥の棚は赤い紐で吊られているように見えますが、
その紐の中に鉄の棒が入っていました(色々、工夫していますね)。

帰る頃には、すっかり日も暮れて、趣のある雰囲気に。。。
菊乃井本店はミシュランの三ツ星。
和食の世界でミシュランの星の数を気にするのは、
いかがなものかとも思いますが、文句なしの三ツ星ですね。


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2015年04月27日

新緑の美しい京都、四君子苑ほか

新緑の美しい春の京都に行ってきました。

まず、特別公開の四君子苑へ。
四君子苑は吉田五十八が設計した建物があるということで有名ですが、
実際に訪れると、上質なものがさりげなく点在している様、
そして、北村捨次郎の晩年の作とされる数寄屋建築に圧倒されました。

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室内は残念ながら撮影不可。

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玄関周りと美術館からのみ撮影可です。

その後、修学旅行以来の清水寺へ。
新緑が美しいとは言え、人、人、人、、、
ザ・観光地!風情は全くありません(笑)。
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間近で見たかったのは、この柱脚部分。
雨からしっかり木の構造体を守る機能的な美しさ。
こんなところに興味がある人はいないようです。
のんびり見れて良かったです(笑)。

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そして、高台寺の傘亭。何度見ても美しいですね。

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そして、その隣りの時雨亭。

その後、親の長寿のお祝いで菊乃井本店へ。
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2014年08月04日

リッツカールトンホテル京都

俵屋旅館から京都迎賓館に行く途中、
最近、竣工したリッツカールトンホテルに立ち寄りました。
吉村順三設計のホテルフジタの敷地の建て替えです。
ほんの数年前、建築家協会の京都大会の後、
このホテルの地下のバーで夜遅くまで飲んだのが懐かしいですが、
京都も東京と同じようにどんどん変わっていきますね。
最近は京都の高さ規制がかなり厳しくなったようで、
事業収支上は超高級ホテルにするしかなかったとのこと。

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厳しい高さ規制のため、客室以外はほとんどが地下に埋められています。
吉村順三が設計したバーの前庭の面影が少し残っています。


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庇をしっかりした出して、和のテイストでありながらモダンな外観。
エントランスがややわかりにくく質素なのは、
日本の旅館を意識してのことなのでしょうか?
駐車場の入り口がやや目立つのが気になりましたが、
車で来ることが前提なのかもしれませんね。

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エントランスのこの松は桂離宮の手法ですね。

中に入ると、このような和のエッセンスが随所にみられますが、
高級感と敷居の高さを見せつけるザ・高級ホテルです。

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このような感じにところどころに人が立っているのですが、
泊まらない人にとっては見張られている感じで・・・
あまり居心地は良いものではありませんね(笑)。
川沿いのカフェゾーンとレセプションは大階段で分けられていて、
こちらのブリッジでつながっています。

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こちらがレセプション。

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川側のサンクンガーデン沿いにあるカフェでお茶をすることしました。

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昼時だというのに、カフェには客は一人もいませんでした。
たまたまなのか・・・・・
お値段が高いということを除けば、とても気持ちの良いカフェです。

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傘、格子といった日本的なキーワードにした西洋的内装です。
外国のビジネスマンがいかにも好みそうなデザインですね。

今、旬な京都の高級ホテルも素晴らしいとは思いますが、
老舗高級旅館の代表の俵屋旅館とは対照的な部分も多いですね。
同じ高いお金を払って泊まるなら、やっぱり「俵屋旅館」かな。






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2014年08月03日

「俵屋旅館」カフェとギャラリー

「俵屋旅館」から歩いてすぐのところに俵屋のカフェ、
「遊形サロン・ド・テ」があります。

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真白の外壁に瓦屋根のセンスの良い京都らしい店構え。

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中は町家を改装したシンプルな内装。
フィンユール、ウェグナーなどの北欧名作家具が置かれています。

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一番奥の特等席がちょうど空いていたので、こちらの席に。
庭を眺めながら、美味しい珈琲を頂きました。
この隣に、俵屋旅館オリジナルグッズを販売するお店、
「ギャラリー遊形」もあります。
とても小さな旅館なのに、すべてオリジナルのものをつくり、
それを販売しているとは・・・・流石、一流です。



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2014年08月02日

「俵屋旅館」霞の間

「俵屋旅館」の続きです。
今回、私たちが泊まったのは「 霞の間  」。
一応、今回は仕事をしようと思ってこちらに来ているので、
大きな文机がある「霞の間」を選びました。
恐らく一番リーズナブルなお部屋だと思います。。。

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旅館のこんな場所で文章を書いていると、
なんとなくいいことを書いている気になってきます。
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本間から文机を見るとこんな感じです。
一見、窓が開かない部屋なのかと思っていましたが・・・・

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文机側はとても細い枠に大きなガラスのはめ殺し窓になっていて、
もう片方が同じ寸法の細い框のガラス窓が開けられるようになっています。


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アップするとこんな感じです。

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夕方になると光が差し込み、美しいのですが・・・・
これでは文机でお仕事ができませんので、障子を閉めてみました。

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障子を閉めるとこのような感じ。

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そして、雪見障子を開けてみました。




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お風呂場の窓から身をのり出して外を見ると、
屋根が重なり合っているのがよくわかります。
塀の向こう側は、孔雀の間の文机のところ。
密集していても、窓の取り方でそれを感じさえないという点では、
現代の狭小住宅などと同じですね。

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うわさには聞いていましたが、こちらがふかふかの布団です。
床に就くと、あっという間に夢の中に・・・・。

「霞の間」の文机はなかなか良かったですが、
今度は「竹泉の間」に泊まってみようと思っています。
ちなみに、俵屋旅館はHPも値段表もないので、
部屋を予約する時は電話するしかないのですが、
「竹泉の間」だけはJTBで予約できるようです。
中村好文さんの「意中の建築」で「竹泉の間」は詳しく紹介されていますが、
新館の1階のプラベートの庭に面したお部屋で、そこの文机も良さそうです。
今回の泊まった部屋の隣の「孔雀の間」も、いつか泊まってみたいです。
「俵屋旅館」は、そんなことをあれこれ考えさせる名旅館です。




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2014年08月01日

「俵屋旅館」窓からの風景

「俵屋旅館」の続きです。

少し早く到着したので、お部屋をいくつか見せていただきました。
どれも甲乙つけがたい部屋ばかり。

「俵屋旅館」は京都の密集市街地にあるので、
高密度に部屋が配置されていますが、
どの部屋からも庭を眺められるようになっています。
そして、外を眺めるという点で、様々なタイプがあって、
各部屋全部違うということに驚かされます。

例えば、こちら。
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忘筌を思わせる障子で風景を切り取った「栄の間」。
椅子に座って地窓からの庭を眺められます。
現代的な雰囲気もありつつも、しっかり和の神髄を感じさせますね。


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こちらが「富士の間」。
古典的な庭との中間領域に土間があるタイプですが、
部屋から直接、プライベートな庭に出られます。

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こちらが「暁翠の間」。
こちらも和洋というくくりでは表現できないデザインですね。

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「暁翠の間」の入口にはプライベートな庭がついています。
小さな庭ですが、とても贅沢な空間ですね。

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「孔雀の間」の本間は続き間となっているので、
とても伸びやかで、かつ、日本的な雰囲気がよく出ていますね。
左に文机、右奥がデイベッドが置かれた部屋があります。

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「孔雀の間」の文机。
京都の密集市街地とは思えない見事な庭ですが、実はここは2階。

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和紙が貼られた小さな部屋に置かれたデイベッド。
横になっても庭が眺められるようになっています。
贅沢なお昼寝ですね。

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限られた敷地を最大限使い切ったお風呂場の庭。
お風呂からの風景にも気を配っています。

ところで、建築家の間で「俵屋旅館」と言えば、
吉村順三が新館を設計したことで有名ですが、
実はその面影はほとんどありません。
それは少し残念ではありますが、
常に進化し続けているところが、俵屋旅館の凄さだと思います。
中村外二工務店が常にどこかを工事しているとのことで、
庭も内装もメンテナンスがかなり行き届いて、やはり一流です。



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2014年07月31日

「俵屋旅館」のおもてなし

「京都迎賓館」見学のために泊まる宿となると、
やはり「極上のおもてなし」の名旅館に泊まろうということになり、
世界中の誰もが絶賛する「俵屋旅館」に泊まることにしました。
「俵屋旅館」は伊藤博文、大隈重信などの明治の偉人から
スピルバーグ、ヒッチコック、米国大統領などなど、
世界中の著名人が泊まったことでも有名ですが、
建築家の間でも高級旅館と言えば必ずこの俵屋が上がります。
これまでに何度も俵屋旅館の話になりますが、
この旅館の批判をする人に出会ったことがありません。
あらゆる分野の超一流の誰もが絶賛するこの旅館は、
何が、どれほど素晴らしいのかを実際に体感したいと、
前々から思っていたのですが・・・・・
はじめて実際にエントランスをくぐり抜けた時、
やや拍子抜けするほど「さりげない」というのが第一印象でした。
そして、帰る時にはまた来たいと思わせるようになっていて、
これぞ「おもてなし」なのかと、その神髄がわかった気がしました。

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一流ホテルとは違った質素な入り口ですが、
訪れたのが祇園祭りの時期だったので「ハレ」の顔。

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雁行しながら、先に進むとこちらに。
気張らない入り口ですが、素晴らしい屏風が飾ってあります。
季節によってしつらえは変えているようです。
高級旅館であることを感じさせない優しい雰囲気ですが、
さりげなくおいてあるものは超一流のもの。
暗がりの先に、中庭が見えます。

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とても落ち着く小さな中庭です。
廊下が迷路のようになっていますが、ここが分岐点になっています。
庭の向こうに見えるのが、
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こちらの図書スペース。
到着すると、こちらに通されます。
奥の部屋の壁は、和紙向こう側から光を透けさせる洒落たデザイン。

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こちらがアーネストスタディ。
オーナーのご主人、故アーネスト・サトウのお部屋だったところですが、
今はだれもが使えるパブリックなスペースになっています。
北欧家具と興味深い本がぎっしり。
本屋ではなかなか見かけかないような数寄屋建築の大型本などもあって、
つい自分の世界に入ってします(笑)。
ただ、部屋は広くはないので、他の人がいるとやや気になる距離感?

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センスの良い小物やお花があちらこちらに飾っています。

「おもてなし」が「サービス」とは違うのは、
そこに報酬が発生しないからだとどこかで聞いたことがあります。
サービス料はあるけど、おもてなし料というものはなく、
そこがホテルと旅館との違いだということらしい。
俵屋の超一流のおもてなしは、さりげない気配りだと思いました。
マニュアル化させれた親切さの押し売りは一流ではないんですね。
とても勉強になりました。

建物は吉村順三の手がけた新館、施工は中村外二工務店と器も一流。
長くなるので、今日はここまで。


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2014年07月30日

「京都迎賓館」見学

一般非公開の「京都迎賓館」の見学に行ってきました。
東京の迎賓館とともに、国賓を接待する大切な場所として、
日本のトップクラスのものが結集した極上の空間となっています。

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正面玄関から入ると日本庭園を囲むように回廊があります。
池に浮かぶ石と稲穂をしばらく見入ってしまいます。

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奥に見える廊橋からの風景は素晴らしいのですが、
そこからの撮影はNG。

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こちらの和船で、船遊びができるそうです。
乗せていたただきたいところですが、勿論NG。

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京都迎賓館の中で最も大きな「藤の間」。
左側に能舞台があります。

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こちらが舞台扉の截金(きりかね)。
テレビなどでもよく紹介される人間国宝の故、江里佐代子氏の作品。
実物を是非、拝見したかったものでしたが、
あまりの完璧さ故にか、意外とその凄さがわかりませんでした。。。。
残念ながら、僕はまだまだ見る目がないようです(笑)。

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こちらの天井は、様々なシチュエーションに対応できる光天井。
なんとも凄いことになっています。

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こちらは畳が敷き詰められてた純和風の「桐の間」の廊下。
写真で見ると一般的な日本の寸法体系に感じられると思いますが、
実際はかなり大きな空間です。
日本的な空間に見えるためには単なる部材寸法というより、
縦横のプロポーションとそれに伴った部材の適切な寸法が重要なんですね。

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そして、こちらが「桐の間」。
全長12メートルの漆の一枚仕上げの座卓です。
これは圧巻です!

京都迎賓館の建物自体は鉄筋コンクリート造の建物ですが、
数寄屋大工の最高峰として知られる二つの工務店、
安井杢と中村外二が内装などで関わっています。

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土庇を支える柱は石の微妙な凹凸にあわせて木を刻んでいたり、
床は修学院離宮を思い出させる一二三石など、
日本の伝統を感じさせるディテールが随所に感じられますね。

今、日本の伝統的な空間の最高峰は恐らくここだと思いますが、
このような場に実際に身を置くことができ、とても良い体験させて頂きました。

一度で良いので、ここで極上のおもてなしをしていただきたいですね(笑)。



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2014年06月23日

建築視察@韓国・済州島

今回の済州島は、伊丹潤の建築視察がメインでしたが、
他にも気になったものをいくつかご紹介します。

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済州島の石を積んでつくった壁にコンクリートのまぐさ。
横スリットの向こうには、世界遺産に登録させれている、
城山日出峰(ソンサンイルチュボン)が見えます。

もう少し引くとこんな感じ。

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石積みの門の奥に、コンクリートの門、
そのさらに奥に先ほどの横スリットが見ます。

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こちらが入口、ゲニウスロキという美術館です。
この写真を見ても安藤忠雄氏の設計とは、
気づかないのではないでしょうか?
コンクリートの扱い方、空間構成など、
これまでの安藤さんの設計手法とは少し違った印象を受けます。
安藤さんが設計した建物は済州島に他に二つありましたが、
この建物はそう言う意味でも新鮮で、必見ではないでしょうか。

他にもマリオボッタの設計した建物など、
いくつか現代建築を見ましたが、いまひとつ。

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保存地区の集落にも立ち寄りました。
独特な屋根形状ですね。
トイレ、台所は勿論、部屋がそれぞれ一棟になっています。
いわいる分棟タイプです。
バリ島などの暖かい地域ではよく見られるタイプとは思いますが、
雪の降る済州島のような地域でもこのようなものがあるんですね。

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こちらは美術館に展示されいたポジャギ。
簡単に言うと韓国式のパッチワークですが、
本場、韓国のポジャギを初めて見ました。
MDSで設計したポジャギの家のポジャギですが、
いろいろんなものがあるんですね。

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夕食は焼き肉ではなく、海鮮鍋に変更。
ハサミで細かく魚介類を切ってくれますが・・・・・・
少し不思議なもの(?)も含まれいましたが、
マッコリを飲んであまり気にせず完食(笑)!

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コチラは、ポドホテルの韓式の朝食。

いろいろ盛りだくさんの一泊二日の済州島でした。

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